俗語のように使われる「体幹が強い」
私がラグビーの世界に長くいたからか、よく耳にする「体幹が強い」という言葉。
指導者の方からも「体幹を強くしてくれ」という要望があります。
その都度どういった能力ですか?なんて質問し返していたらキリがないので自分なりの体幹が強いという言葉の定義を整理しプログラムを作ってきました。
そもそも体幹部とは頭部・頚部・四肢を除いた胴体部分のことを指します。
骨盤も含まれます。
じゃあこの胴体部分の筋肉だけを鍛えればいいのか!!となったそこの貴方、それは大きな落とし穴です。
例えば大腿直筋。
この筋の起始は下前腸骨棘です。
下前腸骨棘とは骨盤を形成している腸骨のある部分を指しています。
上記から大腿直筋は走る、跳ぶといった動作に関与する非常に大きな筋ですが、体幹部への関与もあることは説明がつくと思います。
体幹部の動作パターンは前屈、後屈、側屈、回旋です。
体幹部は胸椎や腰椎の数を見てわかるように、関節の数がかなり多いです。
それに伴い動作1つに対しても関わる筋も非常に多くなるのは容易に想像がつくと思います。
体幹部の動作というのは主動筋・拮抗筋の関係となっている筋が多く存在し、1つの筋を狙って鍛えるということがすごく難しい上、それほど時間のかかる非合理的な話はないと思います。
では強い体幹というのはなんなのか?
私は「外部負荷に対し、四肢を強く速く動かせるための姿勢を保持できる能力」と考えています。
ざっくりしていますが、関わる関節や筋が多すぎるのでミクロを見るよりマクロで見るべきだと私は考えています。
ではどのようにプログラムを作成すべきなのか?
単純なストレングス強化はもちろん必要です。
ベースが大きくないとピラミッドが高くならないように、パフォーマンスを考える中でベースとなる筋力を高めることは必要不可欠です。
しかしそれだけではパフォーマンスに直結しません。
2015年ラグビーW杯の時に日本代表チームに帯同したフラン・ボッシュ氏は「運動パターンをトレーニングからスポーツ分野に移すには、普遍性(多くの異なる状況に適用可能)と自己安定性(タスクと環境の変化に耐えることができる)という2つの重要な基準を満たす必要がある。」と唱えています。
要するにスポーツにおいて同じ場面というのは存在しないので、様々なパターンの負荷を与えなければなりません。
なので様々な場面を想定してトレーニングもプログラミングされる必要があります。
言ってしまえば考えつくだけトレーニングの幅が広がります。正解はありません。
私はベーシックなトレーニング動作の負荷の種類を変化させることが多いです。
前述の通り、正解はないのであくまでも「このような負荷がかかればこうなるだろう」という仮説でしかありませんので悪しからず。
以前紹介したこれも私の中ではコアトレーニングです。
よく採用する種目のパターンは「全身固定した状態で一部分だけ動かす」→「片側動作」→「急に負荷が変わる」→「アンチローテーション」→「バーについている重りをぶら下げて揺らす」といった流れで固定力を高めていきます。
大事なことは動作の中に「固定する」を加えること
ブラボーで有名な某サッカー選手が体幹トレーニング(プランク)をしているということを発信して、体幹=プランクという認識が世の中の常識になってしまいました。
みんな黙ってじーっとしているだけ。
しかも負荷の漸進の仕方が時間を長くしているだけ。
それでは固定力は上がりません。
特異性の原理に全く適っていません。
確かにプランクのようなトレーニングはベース作りには欠かせません。
背中に重りを載せることで水平面の負荷を大きくする、チューブで横からひっぱり前額面の負荷を大きくするといった方法を取れば負荷は漸進できるでしょう。
体幹部のベースの筋力を高めなければ上の動画のようなトレーニングに繋げていけないことも事実です。
トレーニング種目の選択はほぼ全て特異性の原理に影響を受けると言っても過言ではありません。
どんな動作の質を高めたいのか、動作をどう強くしたいのか、これを考えることはトレーニングの幅は無限に広がります。
今やっているコアトレーニングをぜひ見直してみてください。
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