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特異性の原理について考えてみよう

トレーニングの3原理

トレーニングには3原理・5原則が存在します。

過負荷の原理・可逆性の原理・特異性の原理

全面性の原則・漸進性の原則・反復性の原則・個別性の原則・意識性の原則

全てのトレーニングプログラムはこの原理原則に則り作成されなければ良い結果が生まれません。

今回は特に特異性の原理について話したいと思います。

特異性の原理

運動・トレーニングの効果はそのトレーニング刺激に対して大きな効果が表れます。

「トレーニングを行うときは目的に応じた内容で行うべき」ということです。

これを特異性の原理と言います。

ダンクシュートを決めたい!脚を鍛えよう!!

と考えスクワットをする人、レッグエクステンションをする人がいるとします。

3ヶ月後どちらがジャンプ力向上という結果が出せているでしょう?

何となく想像はつくと思いますが、スクワットですよね。

この場合のポイントはジャンプの動作パターンと地面反力があるか否かです。

まずジャンプの動作パターンです。

ジャンプという動作は股関節・膝関節・足関節の屈曲→伸展により構成されています。

動作パターンだけ見比べるとスクワットはジャンプと同一のパターンで構成されています。

一方レッグエクステンションは膝関節の屈曲→伸展のみです。

次に地面反力に関してです。

以前のブログで紹介しましたが、作用反作用の法則により強く地面を踏めば同じだけの力が地面から反力として返ってきます。

ダンクシュートを決めるということは305cmのリングから手が出るくらいまで跳ぶだけの地面反力を生み出さなければなりません。

そのためにはスクワットやオリンピックスタイルリフティングのような多関節で地面を押し込むエクササイズを選択するべきです。

レッグエクステンションは膝関節伸展屈曲により大腿四頭筋を鍛えるためのエクササイズです。

ましてや足底が床に触れてすらいません。

以上の観点から、強く地面を踏むために大腿四頭筋の筋量が足らず、スクワットの補助種目として導入するならばさらに良い結果が生まれるかもしれませんが、単独での効果はかなり薄いと言って良いでしょう。

これが特異性の原理というやつです。

プログラムデザインというのはここまで考えてようやくできるのです。

安易に考えてはダメです。

今回の例で言えばスクワットよりももっと適したエクササイズがあるかもしれません。

どれだけ仮説を立て、論理的に考えられるかです。

その最大の要因となるのが特異性の原理だと私は考えています。

安易な考え方をされがちな特異性の原理

大学の時の講義で印象深いものがありました。

「バスケット選手はベンチプレスよりインクラインベンチプレス」「テニス選手はベンチプレスよりもダンベルフライ」という内容。

バスケの理由はボールの投射角度が斜めだから、テニスはラケットのスイングと似ているからとのこと。

これは未だに引っかかっています。理由が安易すぎないかと。

割と競技の動作に近いものを選べばいいというのが特異性の原理だと考えている人は多いです(あながち間違いでもないのですが)。

トレーニングの主動筋はどこか、動作パターンはどうか、動作速度はどうか、トレーニングのゴールはどこか、色々な要素が絡んで特異的と言えるのではないかと私は考えています。

特異性の原理を基にトレーニングの仮説を立てよう

上記のダンクシュートの例のように、全てのトレーニングプログラム作成は仮説を立てるところから始まります。

トレーニングプログラムというのは事前にわかる正解がありません。

練って練って初めてプログラムが出来上がり、ある程度の期間が経ち検証した結果正解だったかどうかわかるのです。

例えば以前YouTubeやブログでアップしたUバーを用いたベンチプレスです。

以前のブログで「Uバーの使用により肘が低い位置で力を発揮できるようにすれば、通常のベンチプレスにおいても多少アーチを低くしても問題がないはずだ」という仮説を立てていたのはあくまでもベンチプレス競技における動作に関する仮説です。

Uバーを使うにあたり私が期待したトレーニング効果に関して立てた仮説は「Uバーの形状によりベンチプレスの可動範囲が大きくなることでベンチプレスで用いる大胸筋が効率よく筋肥大するはずだ」です。

動画の中でUバーの可動範囲がベンチプレスよりも高値を示しているのはわかるかと思います。

Uバーを用いるとベンチプレスの可動範囲が広くなる→なぜ?→通常のベンチプレスより肘の位置が下がるから→肘が通常よりも下に下がることで上腕骨大結節稜の位置も下がる→大胸筋の停止は上腕骨大結節稜→通常よりも大胸筋が引き伸ばされる→大胸筋の等張性収縮の時間が長くなる→大胸筋の活動量が上がる→筋肥大に繋がるという仮説です。

長い!!笑

特異性の原理における「トレーニングの効果はそのトレーニング刺激に対して大きな効果が表れる」「トレーニングを行うときは目的に応じた内容で行うべき」という観点から、今回の種目は採用されました。

やったことのない種目を採用するときはここまで検討します。

大胸筋の筋肥大に関して検証するのが難しいですが、ベンチプレスの挙上重量を上げるために主動筋である大胸筋を肥大させることが目的なので、挙上重量の向上が達成されればプログラムデザインとしては正解だったということになります。

自分の仮説を立証するには他の原理原則に則りトレーニング頑張るしかないですね笑

トレーニング器機の開発でも同じことが言えます。

単純に可動域が上がるだろうだけで器具を作る人はいないと思います。

まとめ

特異性の原理はトレーニングのプログラムデザインの種目の選択において非常に重要な原理といえます。

原理原則に則ったプログラムを作成できる力が身につけば必ず結果の出るプログラムデザインができるようになります。

特異性の原理を理解しプログラムデザインに活かすにはバイオメカニクス、運動生理学、解剖学をしっかりと勉強する必要があります。

論理というものは理論がなければ成立しません。

理論というのは知識がないと理解できません。

適切なプログラムを作成するには結局は学ぶしかないということです。

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