トレーニングの休息時間
トレーニングプログラムを作成する際に変数と呼ばれるものがあります。
筋の収縮様式、負荷強度、挙上速度、頻度、休息時間、容量、期間などが存在します。
休息時間は一般的にレストと呼ばれています。
レストの長さは使用する負荷重量や回数に応じて大きく変化します。
そしてレスト単独で変化させてもトレーニング効果は落ちるだけで、目的に応じて負荷強度も変化させる必要があります。
筋力向上のためのレスト
筋力強化というものは筋肥大を抑えながら筋力を向上することが目的で、90%1RM以上の重量を用いて2〜4回行うのが一般的です。
主に中枢神経系(運動単位の動員の向上、抑制の低減)が主効果となり、筋横断面積あたりの筋力が向上します。
筋力というのは筋横断面積に比例します。
現時点の筋の質を上げていくためのトレーニングと考えていただければ良いと思います。
そしてレストは3〜5分設ける必要があります。
なぜか?
高負荷を用いると「サイズの原理」に基づき、大きな力を発揮するために速筋線維から優先的に動員されます。
高重量を効率よく挙上するためには、より多くの速筋線維を動員する必要があります。
そして速筋線維は疲労耐性があまり高くないことは皆さんご存知かと思います。
そういうことです。
中枢神経系のトレーニングを行うときはしっかりと中枢性疲労を抜いて回復させることが重要です。
大きい力を発揮することが競技特異性なパワーリフターやベンチプレッサーの人のレストが長いのは理にかなっているということです。
先述しましたが、このようなセットの組み方をしていると筋肥大はほとんど見込めないと言っても過言ではありません。
速筋線維を動員しているのになぜ太くならないのか?
圧倒的に容量が不足しているからです。
例えば100kgが1RMだとします。
93%1RMの93kgを用いて3回を3セット実施した場合と80%1RMの80kgを用いて8回3セット実施した場合、ストロークが同一だと仮定すると仕事量に約2.3倍の差が生じます。
筋肥大にとって同じだけの効果を得る仕事量にしようとすると倍以上のセット数を組まなければなりません。
それを長いレストで実施すると考えると、「何分そこのラックを占領するつもりだ!!!」とエ○タイムフィットネスだと出禁ものです笑
そして難しいのがレストを長く取りすぎると筋温の低下、強縮後増強の作用の低下により力が出にくくなる可能性も考えられますので、時間に余裕を持ってトレーニングできる方は長すぎず短すぎず、尚且つしっかりと回復できるご自身の適切なレストを見つけていただくのが大事かなと思います。
筋肥大のためのレスト
筋肥大とは?
上記にもあるように筋横断面積に筋力は比例します。
よって筋肥大の考え方は筋横断面積を増大させることは目的のトレーニングです。
教科書的な話をすると筋肥大には70〜80%1RMの負荷重量を用いて8〜12回、30〜90秒レストで実施するというのが一般的な考えでしたが、筋肥大のレストの考え方が変わってきています。
一昔前は短いレスト(30〜60秒)で設定し、男性ホルモンや成長ホルモンなどのアナボリックホルモンの分泌応答を得ることを目的としていました。
しかしアナボリックホルモンは筋肥大効果を助長することはあっても、その主要因になるわけではありません。
結局はメカニカルストレスをしっかりとかけてあげないと筋肥大は期待できないということです。
それを象徴するような研究で、2016年にSchoenfeldがベンチプレスやスクワットの7種目を8〜12RMを3セットを週3回実施し、SHORT(レスト1分)とLONG(レスト3分)のグループで比較しました。
するとLONGの方がベンチプレスやスクワットの1RM、大腿部や上腕の筋厚が有意に増加したという結果が出たそうです。
要因として、LONGの方がSHORTよりも10%ほどトレーニング容量が多かったようです。
これによりトレーニングの質が下がってしまうような短いレストはメカニカルストレスを減らしてしまうため、トレーニングとしては逆効果ではないかと提唱されました。
一昔前のような30〜60秒のレストが推奨されなくなってきているのは、負荷強度や容量を落とさずにレストだけ短くすることは疲労の観点から不可能だからです。
トレーニング効果を筋横断面積の増大とする場合、セット間のレストそのものではなくトレーニングの容量およびセットの質が重要なのではないかと現在は考えられています。
なのでトレーニングの質を保つために「2〜3分のレスト」が落ち着きどころかもしれません。
トレーニングは科学ですので、新しい意見がすぐに出てくる可能性もありますけどね…。
ベンチプレスのルール改正に伴い
ベンチプレスはルール改正に伴い、より筋力が重要となってきました。
今回のJCBを見ていても、勝っている選手は筋肉マンばかりですよね。
筋力というのは先述の通り筋の横断面積に比例し、肥大した筋のどれだけ動員させるかが鍵となります。
筋を大きくする→中枢神経系の適応をさせる→筋を大きくする→中枢神経系の適応をさせるの繰り返しをすることで確実に大きく強くなります。
どれだけ質の高いサイクルでトレーニングを回せるかが今後のベンチプレス競技の鍵となるのではないでしょうか!?
今回はトレーニングの変数の中でもレストに注目して筋肥大、筋力について書きましたが、もちろんトレーニング効果というのはこれだけで済むほど簡単なものではありません。
どのような目的でトレーニングをしたいのかによって全てが変化します。
特にトレーナーという立場で人にプログラムを作成するにはかなりの知識量が必要です。
そして自身の経験というのもある程度の参考になります。
トレーナーは勉強してトレーニングしてを一生繰り返す職業です。
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