ヘックスバーとは
六角形(ヘキサゴン)の形状をしていることが名前の由来です。
六角形の中に入り、様々なトレーニングが実施できる便利なトレーニングツールです。
トラップバーという名称で呼ばれることもあります。
特にその形状から下半身のトレーニングにおいては有効的な使用方法が多く、アスリートのトレーニングとして多く活用されています。
ヘックスバーは完全六角形のクローズタイプと六角形の半分がないオープンタイプの大きく2種類に分けられます。
弊社の商品はオープンヘックスバーで、より多くのトレーニング種目が実施可能です。
あの大谷翔平選手も…
2020年に大谷翔平選手が自身のInstagramでヘックスバーを用いたトレーニング風景を投稿し、野球界ではプチブームが巻き起こったそうです。
オリックスバッファローズの選手がトレーニングで使用されている風景もよく目にします。
レッドソックスに移籍が決まった吉田正尚選手のデッドリフトは圧巻です。
なんでヘックスバーのデッドリフトを使うのか?
まず大前提として、バーベルデッドリフト(以下BD)とヘックスバーデッドリフト(以下HD)は「全くの別物」と考えてください。
「深くしゃがめない!」とか「大腿部前面しか刺激が入らない!」などと言って毛嫌いされる方もいらっしゃるようですが、そりゃそうです。違う種目なんですから。
この2つの姿勢を比較をすると、BDと比べHDでは体幹部が起きて下腿部とほぼ並行に保たれているのがわかります。
これによりBDでよく起こりがちなお尻から先に上がる動作エラーが生じにくくなります。
挙上中の筋活動は、ハムストリングスと脊柱起立筋に関してはBDが、外側広筋に関してHDが有意に高値を示したようです。
1RM(1回挙上できる重さ)にほぼ差異がないようですので、簡単にいうとBDは「脚腰で挙げる」、HDは「脚で挙げる」といった表現になるのではないでしょうか。
HDの方が腰に優しいというのは科学的に証明されているのですね。
1RMに差異はほぼないようですが、床半力、ピークパワー、ピーク速度に関してはHDが有意に高値を示したようです。
なぜか?
動作が大きく違うこと、スタートのフットポジションの違い、体幹部の角度が大きく影響してるでしょう。
ちょうど膝の位置の写真です。
BDのスタートポジションではフットポジションがバーから少し離れているため、バーが重心から大きく前方に外れないように膝抜きという下腿を地面と垂直に起こしながら挙上する必要があり、体幹部の角度はスタートから変化なく挙上する必要があります。
体幹部の角度を変えてはいけないのは、上体を起こすことでバーが身体の合成重心から前方へ大きく外れてしまうからです。
一方HDのスタートポジションでは重りの重心にフットポジションが近く身体の合成重心下に重りが位置することから膝抜きのような複雑な動作が少ないです。
さらに体幹部がスタートから下腿部とほぼ並行であるため、床半力の体幹部への入力がスムーズとなり一気に真上に挙上できる特徴があります。
よく立ち上がる動作において股関節の伸展を強調される方が多いですが、基本深い位置から地面を強く踏むのは膝の伸展が有意で、股関節が大きく関与するのは体幹部が起き始めてからです。
スタートから体幹部が起きているHDの方がバーが加速しやすく床半力、ピークパワー、ピーク速度が高値を示したのでしょう。
強く地面を踏みたい、高く跳べるようになりたい、腰に障害があるので安全に脚を鍛えたいと言った方にはBDによりHDを選べばいいのではないでしょうか。
もちろんBDもめっちゃいい種目であることは大前提です!
結論(主観もめっちゃ入ってます)
・脚を鍛えたいならBDよりHD
・腰が痛いけど地面を強く踏みたいならBDよりHD
・動作が簡単なので初心者はBDよりHD
・ジャンプ力を上げたいならBDよりHD
参考文献
An Examination of Muscle Activation and Power Characteristics While Performing the Deadlift Exercise With Straight and Hexagonal Barbells J Strength Cond Res. 2016 May;30(5):1183-8.